■野外博物館 北海道開拓の村

保存建築物で開拓時代の都市・農村・山村・漁村の集落を再現。
各建物の歴史を、開拓の様々な実情を示した資料館として整備、
当時の情景・行歳事の再演、伝統技術の体験参加で「開拓」を理解


 文化遺構の復元と再現は、その遺構が存在した場所で行うのが望ましい。特に場所の環境がその遺構の文化性を訴求するのに重要な墳墓類は、学術調査の上で可能な範囲が一般公開され、名所となる。しかし遺構の持つ価値を表現するのに、同一場所の再現に必ずしもこだわる必要がないケースがある。現状に復元した場合に周辺環境の変化でその文化的特徴がわかりづらくなってしまう場合や、場所そのものが当時を表現するのに困難な場合で、本誌では「出島復興計画」はこうした視点から、同一場所で復興に疑問を呈した。

 それは、復元のリアリティも必要だが、最も大事なことはその遺構を通じて訴求し伝えるべきことが、見学者に伝わるかどうかの評価である。その意味で、「北海道開拓の村」は、わが国にあって北海道だけが持つ「開拓」という歴史をテーマに、当時の生活民俗を、実際の保存建造物を使って"らしく"創造した町並み空間を通じて表現している。つまりこの町並みは「ウソ」なのだが、そのような痛痒は全く感じない。開拓とは経済行為なのか、インフラ事業なのか、野心だったのか、建物の中にある当時の暮らしを見れば、誰でも必ずフィーリングを持てる。建造物のリアリティに頼らず、町並み空間として表現したことが、"開拓の世界"の理解につながっている。

 「北海道開拓の村」は、道の「開拓百年記念事業」の一貫として、開拓の歴史を体験的に理解できる場として1983(昭和58)年4月16日に開村した。位置づけは「野外博物館」である。収集・移築されたのは明治・大正の開拓期の建造物に限られる。場所は、札幌市の郊外に広がる道立野幌森林公園の記念施設地区にあり、北海道百年記念塔と北海道開拓記念館に隣接している。54ヘクタールを占める丘陵地に、現在は63棟の建物が移築復元、町が再現されている。市街地群、漁村群、農村群及び山村群で構成され、建物内部には生活、民俗、世俗に関する資料を展示し、「開拓」を明らかにしている。
 また、体験学習棟では毎日月替わりの内容での伝統遊具づくりの講習会を開催、イベントも伝統芸能・技術に関連した内容を実施するなど施設内容から逸脱しない範囲での集客を実施。道内小中学生の遠足・社会科見学、高校生の修学旅行の定番コースに利用される。

 「レジャーパークの最新動向」では:年間22万人の安定した入場の要因を明らかにした。

※誌面の一部を紹介します



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